あの日のことは、今でもはっきり覚えている。
財布を開いたと、
入れていたはずのキャッシュカードがなくなっていた。
その瞬間、
頭の中にひとつの出来事がよぎった。
少し前、そのカードを記帳したとき、
見覚えのない出金履歴があった。
驚いて旦那に聞くと、
「友達にお金を貸していた。でももう返してもらった」
そう説明された。
金額は元に戻っていたし、
黙っていたことを謝れたこともあって、
私はそれ以上追求しなかった。
ただひとつだけ、お願いした。
勝手にカードを持ち出すのはやめてほしいと。
だからこそ、
財布の中からカードが消えていることに気づいたとき、
嫌な予感しかしなかった。
旦那がすべてを話した日
その日、旦那が帰ってきたとき、
どこか様子がいつもと違っていた。
私は財布のことを聞こうと思っていた。
「話がある」
そう言われた瞬間、
嫌な予感が現実になった気がした。
旦那は、ためらいながらもすぐに話し始めた。
キャッシュカードを持ち出したこと。
そして、用意していたお金を使ってしまったことを。
旦那の話を聞いた瞬間、
私は何も言えなくなった。
頭が真っ白で、
しばらく言葉が出なかったと思う。
でも次の瞬間、
気づいたら声を荒げていた。
どうしてそんなことをしたのか。
これからの生活はどうするのか。
赤ちゃんもいるのに。
「この人、本当に大丈夫なの?」
自分でも驚くくらい、
言葉が止まらなかった。
怒りというより、
怖さの方が大きかったのかもしれない。
旦那は何度も謝り続けていた。
でも、その言葉はほとんど耳に入ってこなかった。
車の支払いのためのお金だけじゃない。
その日からの生活費まで、
ほとんどなくなっていた。
頭の中で現実が追いつかなくなって、私は感情のまま言っていたと思う。
「正直に全部話してきて」
「親に事情を説明して、お金を借りてきて」
自分でも驚くくらい、
強い言葉だった。
失ったお金の重さを知った日
旦那はその日のうちに親のところへ向かった。
正直にすべて話してくるよう、私は強く言った。
でも後から聞くと、
ギャンブルでお金を使ったことまでは話していなかったらしい。
「自分のせいでお金がなくなった」
そう説明して、お金を借りてきたと聞いた。
義母が貸してくれたのは10万円だった。
もちろん、それだけでは足りなかった。
結局、私は姉にお願いすることになった。
本当は頼りたくなかった。
申し訳なさと、情けなさで、
電話をかける手が震えていたのを覚えている。
姉には、起きたことのすべてを話した。
あの時感じた居場所のなさは、
今でも忘れられない。
何もなかったように過ごした夜
その日の夜は、
何事もなかったように過ごしたと思う。
子どもがいたから、
いつも通りに動くしかなかった。
ご飯を作って、
お風呂に入れて、
寝かしつけをして。
でも心の中は、まったく追いついてなかった。
子どもが眠ったあと、
私はひとりで泣いた。
これからどうなるんだろう。
生活は大丈夫なのか。
本当にこの人を信じていいのか。
答えは出なかったけれど、
あの日を堺に、
何かが変わってしまった気がしていた。
この出来事が、後に私が「限界」を感じるきっかけになった。
今思えば、このときすでに旦那のギャンブル問題は始まっていたのだと思う。
この出来事のあとも、問題は終わりませんでした。
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