「病院に行ってほしい」
そう伝えても、
返ってくる言葉はいつも同じだった。
直接断られるわけじゃない。
ただ、会話だけが終わっていく。
何も変わっていないのに。
調べて、伝えて、それでも会話だけが終わっていった
最初に切り出したのは、
再発が続いていたころだった。
「病院、行ってみない?」
「じゃあ調べてよ」
調べた。
近くの専門外来を見つけて、
費用も確認して、伝えた。
「行けたらいいけど…」
また同じ話をしたとき、
返ってきた言葉はこうだった。
「もう大丈夫だから」
何も変わっていなかった。
ギャンブルはまだ続いていた。
でも夫の中では、
もう終わった話になっていた。
会話だけが、終わっていた。
「言っても無駄かもしれない」と思うようになったのは、いつ頃からだっただろう
一度だけじゃなかった。
同じようなやり取りが、
何度も繰り返された。
最初は本気で説得しようとしていた。
資料を調べて、
タイミングを選んで、言葉を選んで、伝えた。
でも結果は変わらなかった。
「言っても無駄かもしれない」
そう思うようになったのは、
いつ頃からだっただろう。
怒りが先に来ていた時期が、いつの間にか、
疲れに変わっていた。
「また同じ結果になる」
そう思うと、
切り出す気力がなくなっていった。
▶︎信じたいのに信じられなくなっていった気持ちはこちらに書いています。
夫の言葉を振り返ると、「否認」のパターンが見えてきた
ギャンブル依存症は、
「否認の病気」とも呼ばれる。
本人が問題を自覚しにくいという特性が、
依存症には強くある。
夫の言葉を振り返ると、
それぞれに意味があった気がする。
「じゃあ調べてよ」
行動を相手に委ねることで、
自分が動くことを先延ばしにする言葉だ。
調べてもらうことで、
「やろうとしている」という体裁を保ちながら、
実際には何もしない状態が続く。
「行けたらいいけど…」
可能性として残しながら、
踏み込まない言葉だ。
「行かない」とは言っていない。
でも「行く」とも言っていない。
曖昧なまま、
話が終わっていく。
「もう大丈夫だから」
問題を過去形にして、
終わらせようとする言葉だ。
現状は何も変わっていないのに、
「もう大丈夫」と言うことで、
治療の必要性をなかったことにしようとする。
これが依存症における
「否認」のパターンだと知ったとき、
「ああ、これは個人の問題じゃなくて、依存症という病気の特性なんだ」
と少しだけ腑に落ちた。
本人が動かなくても、家族だけで相談できる窓口がある
本人を無理に連れて行くことはできない。
でも、家族だけでも相談できる窓口がある。
依存症の専門機関の中には、
家族向けの相談窓口を設けているところもある。
本人が動かなくても、
家族が相談に行くことで、
対応の仕方や関わり方のヒントをもらえることがある。
まだ動けていない。
正直に言うと、私もそうだ。
「調べなきゃ」と思いながら、
検索で止まっている。
▶︎疲れ果てていたときのことはこちらに書いています。
本人が動かなくても、
まず家族が話してみるだけでいい。
一人で抱え込まず、まず話すだけでも大丈夫です。
▼エキサイトお悩み相談室は24時間匿名で相談できます。
【PR】
今日も、まだ諦めていない
はぐらかされ続けても、
諦めずに考え続けていること自体が、
今の自分にできることだと思っている。
同じ状況で消耗しているなら、
一人で抱え込まないでほしい。
今日も、夫は「もう大丈夫」と言った。
何も変わっていないのに。
それでも、
諦めていない。
▶︎ギャンブル問題の記録はまとめページからすべて読むことができます。


コメント